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この診療科目に関連する症状

むくみ / めまい / 動悸 / 失神 / 心臓が痛い / 息が苦しい / 息切れ / 立ち眩み / 背中が痛い / 胸痛 / 脈 / 脈が早くなる / 脈が遅い / 脈が飛ぶ

主な疾患

高血圧や心臓疾患、動脈硬化、生活習慣病などの心臓に関する病気を診察していきます。息切れや鼓動の異変など、見逃しがちな症状も循環器疾患が原因となっている場合も多いため、いつもと違う症状が起きた方は一度検査をおすすめします。

主な対象疾患の別名

狭心症

狭心症とは

狭心症は発作的に、胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。発作の起こり方や原因などにより分類されます。一般的には、「労作(性)狭心症」か「安静狭心症」、「器質型(血管の強い狭窄によって起こる)狭心症」か「異型狭心症」、「安定狭心症」か「不安定狭心症」のように分けられています。

原因

血管内腔が狭くなり、十分な血流・酸素が心筋に送り込めないことにより、胸の痛みが起こります。血管狭窄の原因の大多数は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などに引き続いて起こる動脈硬化になります。そのほか、血管けいれんも血管狭窄の原因となります。

症状

代表的な発作の症状は、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じ、などが挙げられます。大多数は胸部の症状として現れますが、上腹部(胃のあたり)や背中の痛み、のどの痛み、歯が浮くような感じ、左肩から腕にかけてのしびれ・痛みとして感じることもあります。

また、痛みの程度は、冷汗を伴う強いものから、違和感程度の軽いものまであります。特に糖尿病の患者さまは、病変の重症度に比べて症状を軽く感じることが多いので、注意が必要です。

労作(性)狭心症

歩行、階段昇降などの身体的な労作、精神的な興奮・ストレスが誘因となります。安静にしたりストレスがなくなると、多くは数分で、長くとも15分以内には症状が改善します。

通常、心筋は運動などにより動きが盛んになると、正常な働きを保つための十分な酸素・栄養を必要とし、冠動脈の末梢が広がることによって血流が増します。しかし、動脈硬化により冠動脈に狭窄があると、心筋に十分な血流を送り出すことができなくなってしまいます。

狭窄の程度が強いと少し動くだけで、また狭窄の程度が軽いと激しい運動をした時に、心筋への酸素の供給が足りなくなります。つまり、心筋の仕事量に見合っただけの酸素供給が足りなくなった時に症状が現れます。

安静狭心症

労作・ストレスに関係なく起こる狭心症です。異型狭心症、不安定狭心症がこれに属します。

異型狭心症

冠動脈のけいれんによって起こる狭心症です。労作とは関係なく、夜間、明け方に発作が多いのが特徴です。

安定(型)狭心症

発作の起こり方が一定している狭心症で、労作性狭心症の大部分がこれに属します。

不安定(型)狭心症

狭心症の症状が、軽労作または安静時に起こった場合、最近1カ月の間に症状が新しく始まるか起こりやすくなり、毎日のようにまたは1日何回も発作を繰り返す場合、また、ニトログリセリンが効きにくくなった場合の狭心症です。

安定(型)狭心症と比べると、冠動脈に高度な狭窄病変を認めることが多く、心筋梗塞へと進展する可能性が高い状態です。

治療の方法

薬物療法、経皮的冠動脈形成術(カテーテルインターベンション)、冠動脈バイパス手術の3つの方法に大きく分けられます。どの治療を選択するかは、患者さまの年齢、合併症の有無、症状や冠動脈の病変の形態などにより異なります。

薬物療法

抗血小板薬という血液をさらさらにする薬と、心臓の仕事量を減らすβ遮断薬、心臓の負担を軽減し血管を拡張する硝酸薬、カルシウム拮抗薬などを使用します。

また、冠動脈危険因子である糖尿病、高血圧、脂質異常症などの治療も並行して行われます。また、カテーテル検査で高度な病変が確認され、後述の冠動脈形成術、バイパス術を行った場合も、内服治療が併用されます。

異型狭心症では、硝酸薬、カルシウム拮抗薬を使用し、発作の予防をします。この場合、β遮断薬は血管けいれんを誘発することがあり、原則的に使用しません。

経皮的冠動脈形成術

心臓カテーテル検査と同様に細い管を冠動脈の入り口に固定したあと、バルーン(風船)を狭窄部にもっていき、血管内側のプラーク(脂肪が沈着してつくった盛り上がり)を押し広げる治療法となります。最近では、バルーンのあとにステントという金属でできた網状の筒を留置することが多くなってきました。

また近年、バルーン治療以外に、プラークを削りとる治療が行われるようになっています。その代表が方向性冠動脈アテローム切除術(DCA)と、高速回転式アテローム切除術になります。今まで冠動脈形成術には不向きといわれてきた冠動脈の入り口部の病変や、びまん性で硬く石灰化の強い病変にも治療が行えるようになってきました。

これらの治療法は、後述のバイパス術と比べて患者さまへの負担が少なく、順調であれば、一般的には術後1~3日で退院することが可能であり、多くの施設で行われています。しかし、約20~30%の患者さまは数カ月の間に血管内腔が再び狭くなる(再狭窄)ことがあり、冠動脈形成術を繰り返したり、バイパス手術を行うケースもありますが、近年、従来のステントに薬剤が塗布された「薬剤溶出ステント」が使用されるようになり、再狭窄のリスクを減らすことが可能となりました。

冠動脈バイパス手術

全身麻酔下で開胸し、狭くなった血管の先に他の部位の血管(グラフト)をつなぐ手術です。グラフトとしては、内胸動脈などの動脈、大伏在静脈(足の静脈)が使用されています。
一般的には左冠動脈前下行枝と回旋枝の分岐する直前である左主幹部や、主要冠動脈3本ともに病変がある時は、この治療が選択されています。
以前は手術中、心臓の拍動をとめ、その間、人工心肺装置により全身の循環を行うことが一般的でしたが、近年は、人工心肺を使わない心拍動下の手術や、手術の傷の小さな術式が普及しています。

術後は3週間ほどで退院が可能です。患者さまの負担が少なくなると、さらに早期の退院が見込めます。

不整脈

不整脈とは

刺激伝導系のように、洞房結節から房室結節を通ってプルキンエ線維までの刺激伝導系で電気的刺激を心臓全体に伝えることにより、心臓は規則正しいリズムで収縮しています。

不整脈とは、このリズムが乱れたり、リズムが一定でもそのリズムが非常に速かったり遅かったりする場合や、リズムが正常でも刺激伝導系に異常があって、心電図の波形に変化がみられる場合も含まれています。学校検診などで偶然発見される場合は、基礎疾患がない場合がほとんどです。

症状

注意すべき不整脈には、放置すれば血圧低下から心不全や失神など重い症状を来す可能性があり、リズムが持続的に速くなる頻拍と、脈が遅くなる徐脈があります。脈が速すぎても遅すぎても、心臓のポンプ機能は低下してしまいます。

発作性上室性頻拍

小児の頻拍では最も多いもので、心拍数が1分間に180以上になります。症状は動悸、顔面蒼白などで、失神することはまれです。持続時間は、数分から数時間以上になることもあります。安静時、運動時にも起こりますが、個人でそれぞれ特徴がある場合もあります。

前述したWPW症候群では、心房-房室結節-心室-ケント束-心房という電気的な回路が形成されているので、この回路を電気的刺激が持続的に伝導することで発作性上室性頻拍を合併することがあります。そのほか、房室結節のなかにこの回路をもっている場合もあります。

心室頻拍

心室から刺激が出る頻拍症です。心室の収縮様式が大きく変わるので、頻拍中は血圧の低下によるふらつき、顔面蒼白や失神などを起こすこともあります。基礎疾患のない場合もありますが、多くは心筋症や心筋炎、心筋梗塞、先天性冠動脈異常など心室筋の異常に伴います。

完全房室ブロック

第3度房室ブロックともいい、心房と心室の間の伝導が完全に途絶えた状態を指します。この場合は、ブロックされた下の刺激伝導系から洞房結節の代わりに刺激が出て心室へ伝わりますが、1分間の心拍数が40~50程度になり、運動でも80~100程度の増加になります。

QT延長症候群

心電図のQT時間(心室筋が電気的に興奮している時間)が延長し、特殊な心室頻拍が現れた病歴があるか、またはその可能性のある場合を指します。薬剤や血液の電解質の異常により起こる場合もありますが、小児の場合、多くは先天性で遺伝子の異常によるものです。

症状としては、運動や精神的緊張などが誘引となって特殊な心室頻拍が現れます。この心室頻拍は重症で失神を伴うことが多く、場合によっては突然死となる危険があります。また、頻度は少ないのですが、睡眠中の徐脈が心室頻拍を誘発させるタイプもあります。原因不明で、特に運動に関連した失神を繰り返す場合には、この疾患も念頭におく必要があります。

治療の方法

発作性上室性頻拍

息こらえや顔面を冷水につけたりすると発作性上室性頻拍が止まることもありますが、止まらない場合は薬剤を使用します。発作を繰り返す時は、発作予防に薬を内服しますが、それでも繰り返し現れる時はカテーテル治療を行うことがあります。

心室頻拍

心室頻拍は基礎疾患の有無にかかわらず、運動中の突然死の主な原因と考えられています。治療法には、薬剤やカテーテル治療などがあります。

完全房室ブロック

小児では、心臓手術の合併症以外では先天性のことが多く、胎児期から発見されることがあります。無症状のこともありますが、心拍数が少ない場合は疲れやすいなどの心不全症状が現れたり、失神を起こすケースがあります。症状が現れる場合には、ペースメーカー植え込みが必要です。

QT延長症候群

失神や心室性不整脈を伴うものは、βブロッカー(インデラル)などの薬物治療や、ペースメーカーによる治療などが行われます。

心臓弁膜症

心臓弁膜症とは

心臓には4つの弁がありそれぞれ、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、肺動脈弁と呼ばれています。僧帽弁は左心房と左心室との間に、三尖弁は右心房と右心室との間に、大動脈弁は左心室と大動脈との間に、肺動脈弁は右心室と肺動脈との間にあります。また、僧帽弁と三尖弁は房室弁、大動脈弁と肺動脈弁は半月弁といいます。

房室弁の場合は、血液が心房から心室に流入する時に開かれ、心室から動脈に血液が押し出される(駆出)時には閉じられます。これは血液が心房に逆流してしまうのを防いでいます。半月弁の場合は、血液が心室から動脈に押し出される時に開かれ、駆出が終わると閉じられて、血液が心室に戻ってしまわないようにします。
このように心臓の各弁は、非常に大切な働きをしていて、血液を効率よく循環させています。この弁の働きが損なわれる病気が心臓弁膜症になります。

心臓弁膜症には2つがあり、血液の流入や駆出が損なわれる狭窄症(ドアが十分に開かなくなった状態)や、血液の逆流が起こってしまう閉鎖不全症または逆流症(ドアがきちんと閉まらなくなった状態)と呼ばれています。双方が同時に存在することもあります(狭窄症兼閉鎖不全症)。
心臓の4つの弁それぞれに狭窄症と閉鎖不全症がありますが、損なわれる頻度が多いのは僧帽弁と大動脈弁です。2つ以上の弁が同時に侵される場合は連合弁膜症と呼ばれます。

原因

先天性と後天性があり、後天性のものにはリウマチ熱が原因になるリウマチ性心臓弁膜症(関節リウマチとは別の病気です)が代表的ですが、ほかにも各弁膜症ごとにいくつかの原因があります。

リウマチ熱は、溶連菌(溶血性連鎖球菌)という細菌感染が原因で起こります。この細菌は咽頭炎や上気道感染を引き起こしますが、リウマチ熱はこのようなかぜの症状のあと、1~5週間の潜伏期を経て発症します。好発年齢は6~15歳で、発症には自己免疫的機序(仕組み)が関係します。症状は発熱、リンパ節腫脹(はれ)、心炎、関節炎、舞踏病などで、リウマチ性心臓病は心炎が原因になります。

リウマチ熱の治療にはペニシリンを用いますが、最近はリウマチ熱そのものが、まれな病気になってきています。溶連菌感染症には、リウマチ熱のほかに扁桃炎や急性腎炎、猩紅熱などがあります。

症状

症状は心不全症状で、個々の弁膜症に特徴的な症状があります。

治療の方法

大きく分けて、薬物による内科的治療と外科手術になります。心不全症状がある場合には、利尿薬やジギタリス製剤を内服します。安静時にも症状があったり、胸水や浮腫(むくみ)がひどい時には、入院して利尿薬の静脈注射やカテコラミン製剤の点滴などを行います。

手術の有無は、学会で定められたガイドラインに従って判断していきます。

心筋症

心筋症とは

心臓の筋肉に異常があることを指します。これにより、全身へ血液を送り出すためのポンプ機能などが低下してしまいます。明らかな原因疾患がわからない「特発性心筋症」と、何らかの疾患に関わっているという原因が特定できる「特定心筋症」に分かれますが、一般的に心筋症とは特発性心筋症のことをいいます。また、特発性心筋症の中には、特発性拡張型心筋症や肥大型心筋症など、難病に指定されているものもあります。人によって症状やタイプ、重症度などが異なるため、適切な診断と治療が重要になってきます。

原因

心筋症のタイプにより原因は変わってきますが、はっきりとした原因がわからないケースがほとんどです。特発性拡張型心筋症の場合、心臓の筋肉へのウイルス感染や免疫異常との関連性が疑われますが、明らかな原因はまだ解明されていません。その一方、肥大型心筋症では、心臓の筋肉の収縮に関わるタンパクの遺伝子変異が主な原因ということが判明してきています。そのほか、特発性心筋症は、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心臓にある弁に障害が起きて機能が低下する弁膜症、飲酒、周産期、サルコイドーシス(原因不明の多臓器疾患)、筋ジストロフィーなどとの関連性も考えられます。

症状

症状は多彩で、動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状が現れてきます。咳やたんの出る回数が増えたり、走った後に息苦しさを感じたり、足がむくんだりすることもあります。症状が進むと呼吸困難が悪化して、横になって寝ることができなくなり、動いていなくても息苦しさを感じるようになってしまいます。そのほか、めまいや動悸、失神などの症状が出てくることもあります。さらに、心筋症によって不整脈や脳梗塞などが引き起こされ、命を落とす危険性もあるため、注意しなければいけません。なお、心筋症の症状が軽い場合、このような自覚症状がほとんどないケースもあります。

治療の方法

いずれのタイプの心筋症であっても、心臓の働きを助けるための薬物療法が基本となります。例えば、心臓の機能低下による突然死を防ぐために、心不全の治療でも使われているβ遮断薬などを処方したり、薬物療法だけでは改善が見られない場合は、心臓にペースメーカーを入れて心筋の機能改善を図る心臓再同期療法が行われます。心臓の機能が著明に低下した心筋症では心臓移植が必要になることもあります。

高血圧

高血圧

複数回の各来院時に座位で測定された血圧が、常に最高血圧140mmHg以上、あるいは最低血圧90mmHg以上である状態を高血圧と定義しています。現在の基準では、正常血圧は最高血圧が120mmHg未満、かつ最低血圧が80mmHg未満とされています。120~139/80~89mmHgは高血圧前状態と定義されています。降圧薬の投与を受けている人は、血圧が正常範囲にあっても高血圧という診断になります。

日本人の高血圧の患者さまは3,000万人以上にも及ぶとされ、代表的な生活習慣病のひとつにまでなっています。全体では成人男性の約45%、成人女性の約35%が高血圧になっており、年齢とともにその罹患率は上昇しています。高血圧は心血管病の主たる危険因子であり、生命予後に大きな影響を与えることが明らかになっています。

原因

高血圧は、2つに大きく分けられます。本態性高血圧と二次性高血圧といわれるタイプです。90%程度が原因不明の本態性高血圧で、残りの約10%が何らかの原因で高血圧になっている二次性高血圧になります。

二次性高血圧には、腎血管性高血圧、腎実質性高血圧、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、大動脈炎症候群、大動脈縮窄症などによるものがあります。

本態性高血圧は、生活習慣の乱れや遺伝素因、加齢などが相互に関連し合うことが原因で発症すると考えられています。

症状

一般的に、高血圧自体が何らかの症状を引き起こすことはないと考えられていますが、軽度の頭痛、頭重感や倦怠感などを訴えることがよくあります。これらの症状と血圧の因果関係は明らかではありません。

ただし、放置すると致命的な状態になる高血圧(高血圧緊急症)では、激しい頭痛、意識障害、けいれん発作、呼吸困難など重い症状を示します。このような状態では、通常、最低血圧が120mmHgを超えています。

二次性高血圧では、特徴的な症状を示す原因のものもあります。

治療の方法

本態性高血圧と二次性高血圧で、治療法が大きく異なります。

本態性高血圧では、重症度に応じて生活習慣を改善して経過観察するものから、降圧薬を中心とした薬物療法に生活習慣の改善を加えたものになります。

二次性高血圧では、高血圧の原因を除去することが主体になります。

ご予約・お問い合わせ

にいほりクリニックは循環器内科、総合内科、消化器内科、皮膚科、アレルギー科など、地域の皆さまのかかりつけ医として、幅広い診療を行っています。
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